昔ながらの本格梅干し

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昔ながらの漬け方で作る本格的な梅干しです。

6月上旬ぐらいに塩漬けを開始し、赤しそが出回る7月前後にその赤しそを加えた本漬けに入ります。梅雨明けしたら3~4日天日干しして完成!長丁場にはなりますが、最高においしい 梅干しができあがります。

家庭で安全に作るためには塩分量を最低18%は確保します。私は20%で毎回仕込みます。しっかり塩分量を確保した梅干しは塩辛いですが、とてもマイルドな味わいにもなります。漬けている最中のトラブルもほぼなくなり、何年も持ちますよ!

味わいや食感は選ぶ梅の品種によって変えることもできます。代表的な紀州の南高梅は酸味が立つ「The 梅干し」の仕上がりに。香りも風味も豊かです。実もやわらかく果肉が厚いので、食べるとトロッとした食感が味わえますし、果肉が多い分料理などにも使いやすいです。私の地元である静岡の梅は、果肉は南高梅ほど厚くなく大きさもそこそこですが、酸味は抑え気味でマイルドな仕上がりに。ちょこっとつまんだり、お弁当用に使ったりしやすいです。

※トップ写真は、紀州の南高梅(大きさ:3L※ポイント参照)を使った梅干しです。

動画を観ていただくと細かいところまでよくわかります。

ー目次ー
材料
準備
作り方
<6月上旬頃:塩漬け>
<6月中旬頃:重石を半分に減らす>
<7月上旬:赤しそを加えて本漬けする>
<7月下旬:梅を3~4日続けて天日干しする>
<容器に詰める>
ポイント
調理器具
保存について
梅酢を使った料理
梅干しを使った料理
動画
このレシピについて

材料 

  • 梅の実・・・お好みの量(大きさ、等級はポイント参照)
  • 粗塩・・・梅の重量の20%
  • ホワイトリカー・・・梅1㎏に対して1/4カップ目安
  • 赤しそ・・・梅の重量に対して20%ほどを用意(梅3㎏なら600g、5㎏なら1㎏)
  • 赤しそを揉む粗塩・・・適量
例としてトップ写真の梅干しの場合の材料を明記しておきます。

・梅の実・・・3㎏(大きさ3L、等級「秀」)
・粗塩・・・600g
・ホワイトリカー・・・3/4カップ
・赤しそ・・・650g(枝付きの赤しそ5袋分から、枝、茎、傷んだ葉をのぞいた量)
・赤しそを揉む粗塩・・・大さじ3ほど

※赤しそは梅干しの色を赤くきれいに出したければ梅の重量の20%を用意しますが、梅のキロ数が増えると作業が膨大になるので15%ほどでもかまいません。ただし、色の入りは赤しそを減らした分だけ落ちます。
こちらの紀州の南高梅を使いました

準備

梅を漬ける樽、蓋、重石は熱湯をかけて殺菌し、さらにアルコール消毒をする。完全に水気が飛ぶまでおく。

※重石については調理器具参照。

作り方

<6月上旬頃:塩漬け>

1. 梅をやさしく水洗いする。実が緑色で硬いものは水に数時間(2~4時間目安)浸けてアク抜きする。

※やわらかい黄色い実は完熟していることが多いので、水には浸けません。取り除いて工程2に進めます。以下の写真はダンボールに入っていた梅の中から、緑のものだけを選別して水に浸けています。

※もし買った梅全部が緑色だったら、しばらくおいて追熟させてもかまいません。追熟させる場合は水には浸けず、平らな盆ざるなどに梅を出し、風通しのいい日の当たらない場所を選びます。気温や湿度が高すぎるとすぐに傷むので気をつけましょう。

2.梅をざるにあげ、清潔なタオルなどにとって水気をきり、竹串で「なり口」を取る。

3.梅の実に分量の塩の一部を手で握るようにしてまぶしながら、樽に順番に詰めていく。残った塩はすべて梅の隙間、梅の上部に入れる。

4.3にホワイトリーカーを振り入れる。

5.4に押し蓋をして上に重石をのせ、ビニール袋→新聞紙を被せて遮光し、部屋の比較的涼しくて日が当たらないところに置く。

<6月中旬頃:重石を半分に減らす>

1.梅酢が梅より高く上がっているのを確認したら、重石を半分に減らす。

2.蓋をして新聞紙を被せ、赤しそが出回るまで再び部屋に置いておく。

<7月上旬:赤しそを加えて本漬けする>

1.赤しそを茎から手で摘む。摘んだ葉に長い太めの茎が付いていたらそれも手で取り除く(写真右)。

2.1の赤しそを水で洗ってざるにあげ、さらにサラダスピナー、布巾、キッチンペーパーなどを使って水気をしっかりとおさえる。その後涼しい室内にしばらくおき、水分をしっかりと飛ばしきる。

※貯め水で洗った方が葉の中の汚れが取れます。お米を洗うような要領で何度か水を替えながら洗っていくがおすすめ。

3.梅の樽から梅酢をお玉に3~4杯とっておく。

4.ボウルに赤しそを入れ、赤しそを揉む粗塩を全体にふりかかけて両手でよく揉み、アク出しをする。

※赤しその量が多い場合は数回に分けてやります。私は赤しそ650gを3回に分けて揉んでいきました。

※揉んでいると出てくるグレーがかった泡=アクです。写真下のようにきれいな紫色になるまで揉み続けます。

5.4に赤酢を加えて赤色を出すように軽く揉み合わせる。

6.梅の樽に5を汁ごと入れる。

※赤しそを数回に分けた場合は、揉み終わったら都度梅の樽に入れていく。

7.6に再び押し蓋をして梅と同量の重石をのせ、ラップ+ふた+新聞紙を被せる。

8.エアコンの効いた部屋に梅雨が明けるまでおく。

<7月下旬:梅を3~4日続けて天日干しする>

※必ず天気予報を確認し3~4日連続で晴れる期間を選びます。

【1日目】

1.朝、梅酢を絞った赤しそと梅を平らなざるに並べ、日光に当てる。

2.1の梅を2~3時間でひっくり返し、樽に残った梅酢を少しの赤しそに吸わせ、梅にトントンしながら色をのせていく。同じ事を夕方まで繰り返す。

3.梅と赤しそを梅酢の樽に戻ししてふたをし(重石はもうしない)、部屋にひと晩おく。

【2日目】

1.1日目と同じ事を繰り返す。

【3日目】

1.朝から同じように干すが、今まで赤しそでトントン梅酢を付けていた方法ではなく、乾いたら梅酢にサッとくぐらせて干すことを夕方まで繰り返す。

2.梅酢の樽にもどして部屋にひと晩おく。

【4日目】

1.朝から干すが、最終日なので梅酢にはくぐらせず、コロコロ6~7回上下を入れ替えながら夕方まで干す。最終日には梅酢も日光に当てる。

※梅酢の上には網などを被せるのがおすすめ。ラップは水滴が落ちるのでやめましょう。

<容器に詰める>

1.消毒した容器に、天日干しが完了した梅干しを並べる。乾いたままの状態で入れてもいいし、一度梅酢にくぐらせてからでも。赤しそはそのまま詰める。

※私は半分より少し多い量をそのまま容器に詰め、残りを梅酢にくぐらせて詰めました。月日が経つと乾燥が進んで硬くなるので、後半に食べるであろう梅は一度梅酢にくぐらせるようにしています。

梅酢にくぐらせた梅干し

2.残った梅酢は消毒した容器に茶こしを通して入れ、冷蔵庫で保存する。紅しょうが、柴漬けなどの漬物類に使える。

ポイント

 梅の大きさはSから4Lまで様々あります。大きさの目安は以下の通り。

S2.7~3.0cm未満
M3.0~3.3cm未満
L3.3~3.7cm未満
2L3.7~4.1cm未満
3L4.1~4.5cm未満
4L4.5~4.9cm未満

梅は漬けて干すと一回り小さくなるので、それを考えて選びます。通常なら2L以上がおすすめ。カリカリ梅のように干さない場合は、SやMなどのチョイスもありです。私はお弁当用など少し小ぶりな梅干しがほしい時、MやLをチョイスすることがありますが、果肉が少なくなるので料理には使いにくくなります。

 梅には等級があり、A・B・C~のアルファベットで示された梅と、秀・優・良の漢字で示された梅があります。それぞれA、秀が高品質となります。スーパーなどで買う場合は等級がわからない場合が多いですが、その場合は傷や斑点が少ない梅、極端に硬すぎない梅を選ぶようにするといいでしょう。やわらかくなりすぎている梅も避けます。

 サラサラした塩は少量の梅だったら使用可能ですが、梅にまぶしにくい上に塩漬けの際に樽の底に全部落ちてしまうので、梅干し作りにはあまり向いていません。塩はやはり「粗塩」を選びましょう。粒子が粗いので樽に入れても底に沈み込みにくく、梅とのなじみがいいからです。

 ホワイトリカーは甲類焼酎となり、アルコール度数が35%と焼酎の中では高度になります。無味無臭で梅の味にも影響せず、殺菌もできます。スーパーに売っています。

 容器の消毒にはパスとリーゼがおすすめです。アルコール度数が高く食品用なので安心して使えます。


 赤しそを買う場合、枝付きのもの、そうではないもの(葉をすでに摘んであるもの)があります。それぞれのメリットデメリットは以下の通り。

メリットデメリット
枝付き赤しそ枝に付いているので流通過程で傷みにくく、全体的に新鮮で香りが高い。枝から鮮度の見分けが付けやすい。枝から手で摘み取る作業が必要、かつ枝を除いた葉のみの重量が想像しにくい。
葉のみの赤しそ枝から葉を摘まなくていい。必要量の目星が付けやすい。袋にギュッと詰めて入っていることが多いので、傷んでいる葉がいくつか出てくる。

枝付きのものを買う場合は、枝ができるだけ「緑」のものを選びます。枝くすんでいるものは収穫してから時間が経っていることが多く、香りもあまりよくありません。いずれにしても、傷んだ赤しそは必ず取り除いて作業するようにしましょう。

 梅干しは3~4日日光に当てて干すことでうま味が増し、酸味の角が取れ、保存性も高くなります。夜露に当てる場合もありますが、今は突然のゲリラ豪雨などがあるので、私は日中のみ干すようにしています。お好みで夜干しもしていただければと思います。

 干す日数は梅の大きさ、梅の状態、天候、湿度によりいろいろになりますが、3日以上は確実に干しましょう。「連続」「連日」が大切です。

調理器具

 赤しその水気をきるのに使っていたサラダスピナーはこちらです。


 重石は梅の重量の倍ほどを用意します。

例:梅3㎏なら重石6㎏。途中で半分に減らすことを考えて、3㎏の重石を2つ用意します。重ねて使えるタイプが便利。


 樽はこちらがオーソドックス。梅3㎏だと10型ぐらいかなと思います。


 梅を干すざるはこのタイプのものを使いました。竹製の盆ざるは汁切れがとてもいいのですが、年月が経っても衛生的に使えるという点から、こちらにチェンジしています。


保存について

 塩分量20%で作った梅は、常温で何年も保存が可能です。ただし年を重ねるごとに梅干しは乾燥し、塩が結晶化して表面にたくさん出てきたり、果肉が少なくなって実が硬くなったりするので、2~3年で食べきる量を漬けて消費していくのがおすすめ。もちろん年数が経つごとにマイルドになっていきますが、漬けた年とその翌年ぐらいが果肉感とともに一番おいしく味わえ、使える用途も広いです。

 保存容器は、金属製は塩で錆びるので使わないようにしましょう。ガラス系、陶器系を選びます。これらは熱湯消毒に耐えられるのもいい点です。陶器製の漬物用のかめはやはりおすすめ。私がレシピ内(動画内)で使っているのは、磁器系の3段重(直径17cm以上)です。磁器も塩や酸に強いのでおすすめですが、密封性は高くないので、年を重ねると乾燥が進む傾向があります。途中でラップで覆ったりして対応しますが、いつまでもしっとりとした梅干しを楽しみたい場合は、密封性の高い容器を初手から選ぶといいでしょう。

※プラスチック製は熱湯消毒に対応できない場合があったり、梅の色素や匂いが沈着したりするので、避けた方が無難です。

梅酢を使った料理

梅干しを使った料理

動画

このレシピについて

 2006年開設のHPに掲載、ブログ「Quality of Life by JUNA」にも何度も登場

 2025年6月4日 YouTubeに動画をUP