たけのこの選び方と下処理の仕方

たけのこの選び方と下処理の仕方
たけのこは、品種や地域にもよりますが、スーパーなどでよく見かけるたけのこ<孟宗竹(もうそうちく)>は3月~5月のゴールデンウィークあけぐらいまでが旬です。1年の内で楽しめる時期が短いからこそ、おいしいたけのこを見分けられるポイントを押さえておくといいでしょう。
たけのこの選び方
1.皮の色

上記写真のように皮全体が茶色く、皮そのものもきれいなものがおいしいたけのことされています。皮が茶色い=土の中にたけのこがすっぽりと入っていたことを意味します。
たけのこは土から頭を出す前に採ったものがえぐみが少なくなり、食感もやわらかくなります。何の料理に使ってもおいしいですが、特に繊細な料理に向いています。

上記のように皮の上部が黒い場合は、その部分が地表に出て日光に当たっていたことが考えられます。たけのこは土から出た瞬間から急激に成長し、竹になるために食物繊維が急速に増え始めるので、食感も歯ごたえが出始めます。皮が茶色いたけのこに比べて、市場では安く売られている場合が多い=品質が少し劣ります。
とはいえ、じっくり下ゆでし、切り方を工夫しつつ、料理をしっかりと選ぶことでおいしく楽しむことができます。
2.先端の芽の色

たけのこの先端から出ている芽が黄色っぽいもの、茶色に近いものは土の中にまだあった証です。食物繊維がまだ発達していないので、やわらかい食感を楽しむことができます。

○の中のように芽が緑色になっているものは、先端が地表にでて日光に当たっていたことが考えられるので、繊維質が多く食感が硬めです。やはりじっくりと下ゆでしましょう。
3.形、大きさ

あまり大きすぎないもの、長すぎないものがやわらかくておすすめ。写真のように20~30cmほどの長さがいいでしょう。細いものよりもふっくらしたものを選びます。その場合皮をむいていくと、だいたいですが、400gほどのたけのこになります。
※先端はほぼ「皮」です。

上の写真のようにこれだけ長いものになると、下部が竹のようになっていてかなりの繊維質になります。じっくりと下ゆでした上に繊維を断ち切り、コリコリとした食感が楽しめるメンマなどにするといいでしょう。
たけのこの下処理の仕方
1.たけのこは買ってきたらすぐ、たわしなどで皮の表面をこすって土や汚れを落とし、下の部分(汚れている部分)を1cmほど切り落とす。

3.先端の皮を斜めに切り落とす。


4.斜めの面からたけのこの中心に向かって途中まで包丁を入れる。
※先端の方が皮が多いので切り込みを深めに入れ、下に行くほど浅く入れます。
※切り込みをいれることで中まで火が入りやすくなり、皮もむきやすくなります。


5.大きな鍋に4、たっぷりの水を入れる。

6.5にぬか、唐辛子を入れて強火にかける。
※ぬかはたけのこ1~2本につきカップ1ほど、4本ならカップ2ほどを目安に。
※唐辛子はたけのこ1~2本につき3~4個、3~4本なら5~6個を目安に。


※ふきこぼれ防止のため、ふたはしないようにします。
7.煮たってきて細かい泡が上面に上がってきたらいったん弱火にし、穴をあけたクッキングシートをのせ、さらに上に落とし蓋をのせて1~2時間半ほどコトコト煮る(湯が軽く動くぐらいの火加減に調節)。
※ふきこぼれ防止のため、クッキングシートの穴は多めに開けます。
※若くて新鮮なたけのこなら1時間ほど、黒い皮、芽が緑のもの、大きい物、細長い物などは2時間以上煮ます。



8.途中湯量が下がるので、時々差し水をしてたけのこの表面が湯から出ないようにする。串がスッと通ればゆで上がり。火を止めて軽く粗熱が取れるまでおく。




※皮が黒い、芽が緑色、かなり大きい、または細長いたけのこで繊維質がかなり多いたけのこは、以下のようにそのままゆで汁に入れて一晩おきます。粗熱が取れたらふたをしましょう。

※ただし、たけのこにぬかの香りが入るすぎるのを気にする場合は、粗熱が取れたら引き上げます。
9.たけのこの皮を水にあてながらむく。たけのこの下部で色素が沈着しているところ(イボイボしているところ)は包丁で削いで落とす。



10.大きければ半分に切り、たっぷりの水を張ったボウルに入れる。



ポイント
下処理にぬかを使うことで、えぐみを取るのと同時に、風味、うま味、色合い、栄養素などを得ることができます。単にたけのこの繊維質を軟化させる目的ならアルカリ性の重曹を使うこともできます。
唐辛子は辛味を入れる目的ではなく、やはりえぐみ取りに有効と言われていますがエビデンスは明らかではありません。先人の知恵ということが大きく、ぬかと同様、たけのこの下処理には欠かせないものになっています。
ゆでたたけのこの保存方法
<冷蔵保存>

ボウルの水を毎日変えれば、冷蔵庫で1週間ほど保存することができます。
水に浸かっていることで風味やうま味は少しずつ落ちていくので、前半は香りが生きたメニューに(あっさりめのたけのこごはん、天ぷら、和え物、お吸い物など)、後半はうま味を補うメニュー(だしをきかせた煮物や炊き込みごはん、炒め物、揚げ物など)にしてみましょう。
<脱気保存(長期保存向け)>

瓶を使い「脱気」という作業を行うと半年から1年ほど持たせることができます。たくさんたけのこをゆでた場合などにおすすめ。
1.瓶は、付属品も合わせて必ずすべてを熱湯で数分ゆで、トングなどで持ち上げて清潔な布巾にとる(瓶はひっくりかえしておく)。布巾などでふかず、そのまま熱気で水分がなくなるまでおいてく。

2.下ゆでが終わったたけのこをきれいに洗い、1の瓶に入れて熱湯を上まで注ぎ、ゴムパッキン、ふた、金具などをはめる。
※クルクル回して閉めるふたの場合は、軽く閉めるにとどめます。
3.深鍋にお湯を沸かし(湯=開口部の下くらいまでくるような量)、たけのこを瓶ごと入れ、コトコトと30分以上かけて脱気する。

6.瓶を湯から出して粗熱をとり、その後水につけて温度を下げる。
※クルクル回して閉めるふたの場合は、加熱が終わったらギュッとふたを閉めてひっくり返し、30~1時間おいてから水に浸ける。
※急激な温度変化は瓶を割る可能性があるので、段階を踏んで温度を下げていきます。
7.瓶をふいてきれいにし、冷蔵庫に保存する。
※脱気がうまくいっていれば金具はとってOKです。ウェック瓶の場合は、以下写真のようにゴムが下方を向いていれば脱気できています。金具をとってもふたは動きません。開けたい場合は、ゴムを手前にギュッと引くと、プシュッと音がなって開封されます。

調理器具
保存のためのウェック瓶はこちらを使っています。

付属品はこちら


たけのこ2~3本だとこちらほどの鍋がおすすめ。
たけのこを使った料理



動画
執筆者
家庭料理研究家:JUNA(神田智美)